【日本】モダンシンガポール料理「楽堂」

2017年9月に、東京・南青山にオープンしたのは、モダンシンガポール料理店「楽堂」。

骨董通りに面したビルから地下へと続く階段を下りていくと、上品でモダンな店内へといざなわれます。



店内は天井の高さを利用した空間を贅沢に使用。シンガポールで昔から愛されている鳥用の鳥籠が吊り下げられ、壁には中華系とマレー系の子孫であるプラナカンの伝統的絵柄の食器が並び、落ち着いた風格ある店内です。

ランチタイムには、「チキンライス」(1100円)や「バクテー」(900円)をはじめとするシンガポール名物が4種類。また、各種ランチメニューと一緒に「小皿料理 食べ放題セット」(+400円)をオーダーすることによって、野菜炒めや煮込み料理が好きなだけ食べられ、コース感覚で楽しむこともできます。


一方、ディナータイムには、モダンにアレンジされたチャイニーズシンガポール料理が20種類以上そろいます。

ランチタイムに提供しているチキンライスのスチームチキンは、ディナータイムになると「海南チキンのレタス包み」(1680円)として登場。鶏肉はレタス(サラダ菜)に巻いて、チリソース、ジンジャーソース、ダークソイソース(中国黒醤油)をかけて食べるのがベスト。自家製のジンジャーソースは、生姜と葱のブレンドされた風味あるソース、チリソースも辛味をしっかり効かせた同店のオリジナルです。

むね肉は絶妙な火入れ加減で甘味が加わり、ふんわりとした仕上がりに。これも丸ごと一羽の鶏肉を茹でることで、うま味を逃さず調理された賜物です。シンガポールでは、丸鶏を使用することは当たり前ですが、日本では丸鶏の調理が大変ですし、数量によってはコストが逆にかかってしまいます。需要のある一枚肉を使用し、さらに脂分が多くジューシーに仕上がるもも肉を使用する店舗も多くあります。

そう考えると、チキンライス専門店以外で、丸鶏を使用したチキンを食べられるのは大変希少といえるでしょう。

他にもメニューには、大根餅と卵を炒めたキャロットケーキ「玉子と大根のふわとろ焼き」(600円)やプラナカン料理の前菜として欠かせない、帽子を逆さにしたような形の揚げ生地をカップ容器に見立てた「パイティー」(880円)も登場。こちらは、炒めた野菜を詰めてカップごといただく料理です。


締めのおすすめとして、紹介するのが「ラクサ」(1280円)です。シンガポールやマレーシアで主に食べられている米麺のラクサは、素焼きの片手鍋であるクレイポットで提供されます。

ココナッツミルクをベースとしたスープには、エビの出汁が効いていてカレー風味が特徴です。こちらもシンガポールでは専門店があるほどに人気の料理となっています。

具材には、大きな油揚げ、さつま揚げ、ゆで卵、エビなどが入っていて具沢山。土鍋で提供されるので、熱々をいただけます。煮込まれている分、味の染みこみにくい米麺にもしっかりスープが浸透しています。米麺特有のツルンとした食感もしっかりあり、これはクセになる味です。

アルコールも種類が多く、シンガポールでシェアNO.1の「タイガービール」(680円)やラッフルズホテル発祥の「シンガポールスリング」(800円)などが揃います。

アルコールが苦手な人は、中国茶がおすすめ。シンガポールでは、料理とともに中国茶を楽しむ習慣があり、茶器で楽しむのもよいでしょう。


これらの料理は、シンガポール人シェフYeo Kian Tiong氏によって作り出されています。シンガポールではモダンアメリカン料理店を営んでいたYeo氏ですが、日本では母国シンガポールの味を提供。シンガポール人が日本でレストランを営むことはまだ少なく、とても貴重な存在といえるでしょう。

南青山としては、価格もリーズナブルに設定されているので、気軽に訪れてほしいです。


楽堂
東京都港区南青山5-11-5 住友南青山ビルB1‐B
03-6712-5175
ランチタイム11:30~15:30
ディナータイム18:00~23:00(L.O.22:00)
日曜日休み

*価格は消費税抜き

SINGAPORE FOOD TRIP

シンガポールを旅しながらその魅力を食を通じて発信 アジアンフードディレクターとして、メディアを中心に活動中